航空から鉄道へのシフトを税金で促す動きまで飛び出した欧州最新事情。
1981年にパリ─リヨン間に高速鉄道路線が完成し、高速列車「TGV」の運行を開始、それまで特急列車で6時間半以上かかっていた両都市間が、今ではわずか2時間で結ばれる。現在、両都市間における高速鉄道対航空の旅客シェアは、鉄道が91.5%に達し、航空はわずか8.5%にとどまっている。その後、ドイツやイタリアが続き、欧州で本格的な鉄道高速化時代が始まった。
94年に英仏海峡トンネルが開通、ロンドンとパリ、ブリュッセルを結ぶ「ユーロスター」が運行開始。2007年には英国内の高速鉄道路線も開業し、ロンドン─パリ間は最短2時間15分まで短縮された。その結果、航空に対する鉄道のシェアはパリ線71%、ブリュッセル線65%。航空会社は運航本数の縮小や撤退を余儀なくされた。
パリ─ブリュッセル間で唯一残っている空の便はベルギーのブリュッセル航空の1日1往復で、しかも毎日ではない。エールフランスは、パリのシャルル・ド・ゴール空港から乗り継いでブリュッセルへ行く旅客に対して、TGVに自社便のフライト番号を付与し、乗り継ぎ便として取り扱っている。空港ターミナル直下に駅があるからできる方法である。同種のサービスはルフトハンザドイツ航空が80年代にフランクフルト空港ですでに始めており、KLMオランダ航空も今年、同様のサービスを開始した。今後も中短距離の区間で、鉄道と航空が手を組む流れが加速していく可能性が高い。
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