「病院によく入院してくるのは、食べ物を間違って気道に入れて、感染を起こして熱を出した誤嚥性肺炎、あと転倒ですね。そうした出来事をきっかけに寝たきりになる人はよくいます」。
中部地方にある中規模病院に看護師として勤める和子さん(仮名、40代)はこう話す。病院全体で数百のベッド。最初元気だった高齢者も、入院が長引くと寝かせきりが原因で寝たきりから脱却できなくなる。自分での食事が日に日に困難になり、果てはへそから胃に通した管によって直接栄養補給する「胃ろう」、または鼻から胃へ管を通して栄養を入れる「経鼻経管栄養」などを使わざるをえなくなる。意識らしい意識がないまま管につながれて死を待つばかりの人が一人また一人と出る。
「ベッドに縛りつけられた高齢者」も出てくる。認知機能の低下が進むと文字どおり身動きできなくされる。経鼻経管栄養などを自分で抜いてしまうからだ。必要となる点滴、注射、酸素投与などをすべて拒絶して暴れ、手に負えなくなるのだ。「そのまま亡くなることも多いですね。ご家族もこんなふうになっているのを知っているのかな、と思います」。和子さんは常々そう感じつつ寝たきりであふれた病棟で看護に当たる。
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