お肉屋さんが自ら「お肉は健康によくないからあまり食べないほうがいい」なんて、言わないでしょう。医者も同じことで、自分の専門技術はつい勧めたくなります。加えて、現行の出来高払いの診療報酬制度では検査や治療を多く行うほど病院の儲けが大きくなる事情もあります。
「子どもが頭を打ったので念のためCTスキャンを撮って」と請われたとき、医師にとっていちばん楽なのは「はい」と従うことで、正論で説得しようとしたら何十分かかるかわかりません。治療についても、効果に疑問があっても患者の求めに応じて処置してしまう現実があります。このような流れに待ったをかけるのがチュージングワイズリーという啓発活動です。
北米を出発点に、ここ数年で運動の輪が急速に広がっています。私は医学部教授から開業医に転じましたが、日本の大学病院や地域でもこれは差し迫った問題だと考え、2016年10月、仲間とともにチュージングワイズリーの日本支部を立ち上げました。メンバーの約8割が医療職で、2割が一般市民や患者団体の人々です。
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