命や健康を脅かす過剰な検査・検診、あふれる残薬、人工透析、整骨院…。「聖域」だらけの医療の現実。
»»Part1|これだけある医療費の聖域
検査から治療まで蔓延! 科学的根拠ないムダな医療
ほとんどの風邪には抗菌薬(抗生物質)が効かないことは、医者の間では常識だ。風邪の原因の9割はウイルス感染症とされるが、細菌に効き感染症の治療にかかせない薬である抗生物質はウイルスには効かないためだ。
だが医者にかかると、今でも「フロモックス」や「クラビット」などの抗生物質が処方されることが少なくない。「抗生物質が風邪の特効薬だと誤解している患者はまだ多い。なぜよく効く薬を出してくれないのかといぶかしげな表情で迫られると、つい経営のことも考えて希望どおりに処方してしまう」とある医師は打ち明ける。
抗生物質の多用が続くと、薬が効かない耐性菌の広がりにつながりかねない。厚生労働省は昨年、重い腰を上げ、抗生物質の適正使用の手引きを作成。細菌感染が疑われる重症のときに使用を限り、軽い風邪や下痢には用いないよう勧めている。今年4月の診療報酬改定では、乳幼児の風邪や下痢に際し適切な説明をして抗生物質を処方しなければ医師に報酬が支払われる仕組みが新設された。
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