スバル車に宿る、負けず嫌いの反骨精神 吉永社長が語る富士重工業の生きる道(下)

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――やはり生産能力の問題がついて回ります。

14年夏に発売した新型レガシィとアウトバックに合わせて、米国工場の能力を年間17万台から20万台に増やした。これで月産能力は1万6000台強。米国では生産しているのはこの2車種だけなので、これくらいは売れるという構えで投資を決心した。ただ実際の月販台数はレガシィが6700台、アウトバックが1万2500台(いずれも2014年10月)。全然足りない。またまた、ここまで行くとは思わなかったという話になる。

レガシィとアウトバックは日本で米国仕様を生産していないので、これが本当の限界。米国のディーラーからは「なぜもっと造ってくれないんだ」という話を延々とされている。ただ、自分では本当によく考えて投資をしていると思っている。2、3年前に決定したことなので、逆に(生産能力が)余ってしまったら大変だった。

よしなが・やすゆき●1954年生まれ。77年富士重工業入社。2007年執行役員スバル国内営業本部長。09年取締役兼専務執行役員を経て、11年6月より現職

――もっと大きな工場が必要になるわけですか。

米国では16年末にあと11万台分の生産能力を増やす。ただ、今の車種だけではあまりにリスクが大きいので、「インプレッサ」もつくることになる。車にはモデルサイクルがあるので、売れている状態が何年も続くのは難しい。”柔軟性”が必要だ。

米国のディーラーにいつも伝えていること

つまり、この計画はインプレッサという車の開発と結びついており、前倒しができない。工場だけの話ならば要望に応じて検討できるのだが、ここが今の製造部門のつらいところ。少しでも生産能力を上げられないか、米国工場で必死に考えてくれている。ただこれまで何度も引き上げてきているので、簡単ではない。

――ディーラーからのプレッシャーが強くても会社は傾きません。だが、過剰設備や余剰在庫を抱えてしまうと、自動車メーカーはあっという間に傾きます。

生産能力に関しては慎重に考えるべきです。工場というのは一度構えたら、後でそう簡単に変動させられない。レイオフ(人員削減)などという事態になったら大変なことになる。

米国でうまくいっているのは、供給が需要を上回っていないからだと思う。いくらマーケティングがうまくいっても、ディーラーに在庫の山ができたらインセンティブ(販売奨励金)をつけるしかなくなる。今のスバルは1台あたりのインセンティブが1000ドルを切っているが、業界平均の2000ドル以上なんてつけるわけにはいかない。米国のディーラーの「足りない」という声はよく分かるが、そうしたことをいつも伝えている。

次ページトヨタ自動車との関係は?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事