ソニー、テレビ事業10年ぶり黒字化の舞台裏

分社化でようやく息を吹き返した

今期は第2四半期までは黒字化を果たせたが、最後まで気は抜けない。まずは市場がどう急変しても、黒字を維持できる収益基盤を構築したいと考えている。

――11年にテレビ部門トップに就任してから、何をどう変えたのか。

愚直で当たり前のことを一つ一つ積み重ねてきた。たとえば販売会社の構造改革。いちばん結果が見えてきたのは米国だ。米国では大手家電量販店で「ショップインショップ」という自社専用売り場の展開を始め、そこに販売リソースを集中させている。以前の店頭では、壁一面にずらっとテレビが並べられているだけ。それでは特徴が伝わらず、どうしても価格面だけで判断されてしまった。ショップインショップでは、製品の特徴を丁寧に説明している。今後は米国以外でも、同様の方法を試していくつもりだ。

また、商品一つとっても、従来は設計する人、企画する人、マーケティングする人、販売する人がバラバラだった。そのため、その商品の何を訴求したいかと問うても、答えられる人がいなかった。それではいけないと、商品ごとに責任者を決め、企画からマーケティング、設計まで携わるようにした。一見非効率だが、それによって課題がより具体的に見えるようになった。

分社化で変わったのはむしろ本社

モデル数の絞り込みも行った。これまでは、流通業者にいろんな異なる仕様を求められ、結果的に商品数が増えてしまったり、大手競合と同じサイズや価格帯で競おうとして、商品数が増えてしまったりしていた。そうではなく、どの商品をどの流通で、どんな顧客ターゲットに届けるのか、集中と選択を徹底した。この動きは14年7月にテレビ部門が本社から分社化されたことで、よりドラスティックな動きに変わっている。

われわれ自身は、分社化前も後もやっていること自体が大きく変わっているわけではない。むしろ変わったのは本社の姿勢だ。今は本社自体が売り上げ拡大に頼らず、強い筋肉体質の会社を築こうとしている。そのため、われわれに求められる変化のスピードも上がっている。われわれはそうした期待に応えようとしている最中。分社化の効果は、今期よりもむしろ来期以降に出てくると思う。

――構造改革を進める中で、サムスンとの液晶パネルの合弁も解消した。キーデバイスである液晶パネルを外部調達し、商品をどう差別化しているか。

液晶パネルを外部調達したといっても、液晶ガラスにバックライトでどう光を当てるか、またLEDなどのデバイスの進化をどう活かすのか、といった領域は改善の余地が大きく、イノベーションの宝庫だ。またソニーは信号処理の技術で蓄積があり、2Kの画像を4Kにアップコンバートする技術などでも優位性がある。水平分業といっても、こうした擦り合わせの部分はまだ多く、ソニーの技術が活かせる領域は多い。

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