ソニー、テレビ事業10年ぶり黒字化の舞台裏 分社化でようやく息を吹き返した

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確かに、そうして画質向上を追求しても、もう十分だという意見もある。しかし、今4Kを購入されるお客さんは、昔プラズマの高画像に惹かれて購入し、5~6年経ってそろそろ買い替えの時期に来ている方が多い。当時と比べると、飛躍的に画質は変わっており、その部分を訴求する余地はまだ大きい。

技術の進歩は連続的なものだと思う。われわれは愚直に技術の進化を続けていく。そうすれば、時間が経てばすごく大きな差を作り出せると思う。

――今後、どのようなテレビを投入していくつもりか。

2015年にはアンドロイドOSを搭載したテレビを投入する。今やスマホなどモバイルとテレビとの連携は不可欠だ。グーグルと連携し、テレビ用OS「アンドロイドL」の仕様を詰めてきた。これはお客さんがテレビで何をしたいかというソリューションの一つになると思う。

「ネクストテレビ」の議論もしている

ただアンドロイドOS搭載テレビは、他社が同様に出す可能性も大きく、それで差別化することにはならない。ソニー製スマホ「Xperia」シリーズやプレイステーションとの連携に加え、今のテレビのベースの上で、将来的には「ネクストテレビ」の議論もしている。

テレビは本来、「感動を映し出す窓」であるべきだが、現状のテレビは放送の決まりなどで、16対9の大きさになっていたり、リビングに置きやすい形状になっていたりと、いろんな制約がある。将来的にはそういう制約がどんどんなくなっていくと思う。

ソニーが投入した(壁に映像を映し出す4K超短焦点プロジェクターの)「ライフスペースUX」は、社内での事業範囲は別だが、リビングや住宅での映像空間の提案という意味では、方向性の一つ。いずれテレビ機器のハードがなくなり、こうしたプロジェクターが普及する可能性もある。その場合、現状のテレビがなくなっても仕方がない。そもそも既存の何かを守っているソニーではいけない。

こうした放送以外のいろんなテレビは、実現する技術開発には時間がかかる。だが将来的には具体的な提案をしていきたいと考えている。

(撮影:尾形文繁)

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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