2012年の社長就任から、津賀一宏社長は不採算事業の止血を最優先事項として改革を進めてきた。まずはテレビ用の液晶ディスプレー事業の縮小や、個人向けスマートフォン事業からの撤退などに着手。事業モデルの転換や工場閉鎖を含め、主立ったもので累計11件のリストラを行っている。
この間の業績は11年度を底に増益基調を保っている。売上高は7兆円台半ばで推移していることから、リストラ効果が大きいと見ていいだろう。とはいえ、赤字事業はまだ残っている。取材により明らかになっているのは液晶パネル、テレビ、半導体、二次電池、介護、ソーラーの六つだ(17年4~9月期時点)。
打開策の見えない液晶、半導体
その中で改善傾向が見られるのはテレビ事業。同事業はプラズマディスプレーの市況悪化で11~12年度に巨額損失を計上した。そして13年度に撤退を決断し、約5000億円をつぎ込んで建設した尼崎の3工場の売却を今年3月にようやく完了した。
現在もパナソニックのテレビ「ビエラ」は販売されており、パネルは韓国や台湾のメーカーから調達している。自社工場で担うのは、部品の組み立て工程のみだ。生産面のコストを身軽にしたことで、テレビ事業は15年度に通期で黒字化した。今期も通期で見れば黒字になる見通しだが、その額はわずか32億円にとどまる。
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