「北斗星」廃止で豪華寝台列車はどうなる?

「カシオペア」存続に立ちはだかる新たな壁

運行開始から26年が経過。車両の老朽化は否めない

利用者が多いにもかかわらず廃止となる理由はいくつかある。

第1の理由は、車両の老朽化である。運行開始から四半世紀を経ているだけあって、客車内では確かに傷みが目に付く。古びた感じも否めない。

もちろん、運行にかかわる部分は定期的にメンテナンスしており、安全に関しては万全の体制で臨んでいるが、新型の車両と比べるとその費用は安くはないだろう。

北海道新幹線の開業が逆風に

第2の理由は、2016年3月に北海道新幹線開業を控え、その試験運行が本格化していることだ。青函トンネルは新幹線と在来線の両方が使用するが、それぞれの使用する電圧が異なるため、新幹線が運行する場合、電圧は在来線基準から新幹線基準へと変更される。

北海道新幹線の開業に向けた動きが本格化する中、運休日は大幅に減らざるをえない

そうした事情から、試験運行を行う日には、北斗星は運休となっている。開業まで1年を切ると、運行試験はより頻繁に行われる。運休日が大幅に増えることは避けられないのだ。

なお、在来線は新幹線基準の電圧では走れないため、JR貨物は新幹線基準に対応した特殊な機関車を約20両導入して、新幹線基準の電圧でも走れるようにした。では北斗星も新型機関車を導入すればよいかというと、そう簡単にはいかない。

青函トンネルを含む津軽海峡線はJR北海道の管轄であり、北斗星のためだけに新型機関車を導入するだけの余裕は同社にはないとみられる。機関車を導入するだけでは済まず、保守設備など付随的なコストもかかるからだ。JR貨物から機関車を借りるという方法もあるだろうが、JR貨物の機関車導入費用は国からの補助金で賄われているだけに、目的外の使用がはたして認められるか不透明だ。

第3の理由は、JR貨物との関係である。新幹線はレールなどの保守作業を行う深夜0時から朝6時は運行できない取り決めになっているが、深夜時間帯はJR貨物の貨物列車が青函トンネル内をひっきりなしに走行している。貨物列車は北海道と本州を結ぶ物流の最重要手段だけに、廃止するわけにはいかない。そこで、特例として保守時間帯を圧縮し、0~6時の一部時間帯に貨物列車を走らせる案が検討されている。そこに北斗星が割って入るのは容易ではないだろう。

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