【産業天気図・自動車/自動車部品】三菱自を除き世界的な需要増で恩恵
販売の落ち込みが続く三菱自動車の窮状を除けば、今年も日系自動車メーカーの勢いはいっこうに衰えを見せない。その意味では空模様は「晴れ時々くもり」といえようか。
中でも、第1四半期(4~6月期)の好決算を受けて世界販売台数を期初計画の702万台から720万台(2003年度実績比48万台増)へ、早々と上方修正したのがトヨタ自動車。計画上乗せの牽引役はアジアで、今年8月からタイ、インドネシア拠点で相次いでラインオフした世界戦略車IMVが成長を大きく後押しする。利益柱の米国も計画を上回る見込みだ。
同じく北米で大攻勢をかけるのが日産自動車。GMやフォードが台数を落とす中、乗用車のアルティマは絶好調。ライトトラック系の新型車も貢献し、足元は2桁増のペースで推移。通年で初の販売100万台到達を目指す。国内では9月から一気に6車種という怒濤の新型車攻勢を繰り広げ、上期の落ち込みを取り返す算段だ。
ホンダは、収益源の北米で看板車種のシビックやアコードの販売が足踏み。しかし、昨年、フィットの落ち込みに泣いた国内で、オデッセイ、エリシオンなどミニバン新型車の好調で収益とも回復歩調にある。需要が爆発する中国市場でもアコードの好調ぶりが変わらず、米国が横ばいでも世界販売台数の増加が確実に達成できる。鋼材の値上がりや原油高などがあるものの、大打撃を受けることは、まずなさそうだ。
メーカーの好調を受け、ホンダ系のケーヒンやショーワなど、第1四半期の決算時点で早くも業績予想を上方修正する自動車部品会社が続出している。日系自動車メーカーの躍進と並行して超繁忙なのが、タイヤメーカー各社。原料天然ゴム高や為替の影響もあり、当初は苦戦が予想されたが、ブリヂストンや横浜ゴム、住友ゴムなど大手タイヤメーカーは海外のタイヤ販売が予想以上に好調。原料高や円高に左右されるとはいえ、向こう半年の自動車業界の展望は明るい。
【井下健悟記者】
(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部
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