年初から原油安、人民元安、世界同時株安の嵐が吹き荒れ、頼みの綱の米国経済にも暗雲が垂れ込めてきた。世界経済は大丈夫か──。
グローバル経済大荒れ!
世界的なリスクオフはこうして起きた
日本銀行のマイナス金利政策導入発表からわずか5日後の2月3日、日経平均株価が前日比559円安と急落した。原油先物相場がフシ目の1バレル=30ドルを再び割り込んだことがきっかけだ。
原油安に過敏に反応するのは、それが今回の世界的リスクオフの起点だからだ。原油安からは産油国と米国への二つのリスク経路が続く。米国の量的緩和も後押しし投資信託を通じて大量の資金が流れ込んだ原油先物。この先物相場急落は市場規模が限定されるため影響は大きくない。重要なのは油価下落によって現物の原油収入が産油国で激減したことだ。
原油収入は産油国政府が一元的に管理し、政府系ファンドが原油収入の余剰部分であるオイルマネーを国際金融市場で運用してきた。だが国家歳入を原油収入に依存する産油国は油価下落で財政悪化に見舞われ、政府系ファンドは資金引き揚げを加速(図1)。これが世界の株式市場で売りが続出する要因になっている。
先進国などの原油輸入国には所得増の効果があるが、その所得増は企業や家計に分散するため、必ずしも国際金融市場で運用されるわけではない。こうした所得増が実体経済の支出に回れば望ましいが、低成長が定着する先進国では設備投資や消費は抑制ぎみ。国際金融市場は支えられず、実体経済もよくならないという状況に陥っている。
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