注目のサウジ。練達の中東ジャーナリストが緊急寄稿。
1バレル=30ドル割れを演じた原油価格。政府歳入の大部分を石油輸出に依存するサウジアラビアは大きな影響を受け、昨年末に発表した2016年予算で財政赤字は3262億リヤル(約10.5兆円)となった。昨年は金融資産の取り崩しや国債発行を断行。財政悪化はサウジの体制不安に結び付きかねない。
「アラブの春」で始まった中東の激変は5年を経てますます混迷の度を深めているが、日本経済と関係が深いペルシャ湾岸諸国はこれまでのところ混乱を免れている。それはサウジの安定と強いリーダーシップによるところが大きい。11年春に湾岸で唯一激震に見舞われたバーレーンでのシーア派の大規模デモも、サウジの軍事介入で抑え込んだ。
ところが昨年1月にアブドラ国王が死去し、サルマン新国王が即位するや、どうも内政・外交で危うい対応が目立っている。
王位継承、外交、内政… 次々と迫る難題
16年の国際ニュースは、サウジとイランの国交断絶で幕を開けた。原因はサウジが年頭に「テロリスト」として死刑囚47人を処刑し、その中にシーア派宗教指導者が含まれていたことだ。イランの首都テヘランで抗議するシーア派群衆がサウジ大使館を焼き討ちした翌日、サウジのジュベイル外相が断交を発表した。
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