世界を揺さぶる中国通貨危機説や原油安、中東不安。その実像に迫る。中国は年初から株暴落と人民元安に見舞われた。現地からの生の声をリポートする。
「肖鋼(しょうこう)は辞任すべきだ」。2016年に入るや、株式市場では導入されたばかりのサーキットブレーカー制度が連続発動され、株価暴落を逆に加速させてしまった。
発動基準が低すぎたために、売買停止となる前に売り急ぐ投資家が殺到したのだ。当局は1月7日、早々に同制度を中止したが、一般投資家の怒りは収まらず、中国証券監督管理委員会の肖鋼主席の辞任を求める声が巻き起こった。今回の暴落はわずか2週間で投資家1人平均20万元(約370万円)の損失になる計算。これは中産家庭の年収に相当する。
経済は悪くないが、株式投資はご法度
北京中心部に住む趙さん(女性、61)は15年に定年退職し、今年から本格的な株式投資を始めた。その矢先に株価が暴落し、下がるときは買うべきと買い増ししたら、投資した株はわずか1週間で半分以下の価値に。「取り返すことを考えるべきではなかった」と今も後悔している。
趙さんは長く公務員の仕事をして、自分の体験から中国の経済はそれほど悪くないと感じている。仕事で知っていた企業は以前のような大儲けは少なくなったが、どこも経営困難ではない。原油が安くなり、中国経済には追い風だろうと判断して株式市場に足を踏み入れたのだった。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら