世界経済において新興国や資源国はもはや無視できない存在だ。その新興国や資源国が足元では景気減速に直面するなど、ひところの勢いを失っている。しかし物価動向を見ても取り巻く状況は一様でなく、それが問題を複雑にしている。米国の利上げや原油安は新興国・資源国にどのような影響をもたらしているのか。気鋭の若手エコノミストが解き明かす。
Question1 原油安・資源安は新興国と資源国に何をもたらした?
資源国では原油をはじめとする資源価格の下落を受けて交易条件(輸出物価/輸入物価)が軒並み悪化した。それに伴う国民所得の下押し圧力の高まりが景気を圧迫している。米国が金融政策の正常化に動き始めたことで、世界のリスクマネーが縮小するとの懸念も加わり資金流出が進んだ結果、通貨安による輸入インフレが起こったブラジルやロシアは景気低迷と物価高が共存するスタグフレーションに陥っている。
一方、資源を輸入する新興国ではインフレ圧力の後退につながるなどプラスの効果が期待される。インドやインドネシアでは、経常赤字の圧縮という効果も生んでいる。ただ、これらの国々ではインフレ率の低下に伴う実質金利の高止まりが景気の足かせとなっている可能性がある。しかも景気減速が懸念される中でも、資金流出を警戒して金融緩和に踏み出せない状況に陥っている。
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