シリア情勢とサウジ・イラン対立の関係は? 複雑に絡んだ構図を中東湾岸国研究者が読み解く。
2010年末以降の「アラブの春」で中東は大きく動揺した。チュニジア、エジプトで長期独裁政権が打倒され、リビアとイエメンは今も無政府状態だ。政権の存続したシリアでも内乱が発生した。しかも、これらの国に「イスラム国」(IS)などテロ組織が根を張り、周辺地域にテロを拡散させている。事態収拾を図るべき国際社会は、思惑の違いで足並みがそろわない。
図1のように、それが露骨に表れたのがシリアをめぐる立ち位置だ。
シリアはバァス党アサド大統領独裁下にあり、その一族がアラウィー派という少数宗派に属するため、メディアではシリアの内乱はアラウィー派政権対スンナ派反政府勢力の戦いと位置づけられた。ただ、初期のデモ隊の要求は政治改革であり、政権打倒ではなかったし、現在「反アサド」を叫ぶサウジアラビアなどスンナ派諸国もアサド支持を明言していた。少なくとも当初は宗派対立ではなかったのに、いつの間にか宗派対立へと単純化されてしまったのだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら