世界経済を一人で牽引する米国。金融市場だけで泣く、企業業績や実体経済にも黄信号が灯り始めた。ニューヨークでは急速に悲観論が台頭している。
現地リポート 米国
「米国でマイナス金利が発生した場合に、銀行経営に及ぶ影響を計算してください」。金融機関調査で知られる米キーフ・ブルエット・アンド・ウッズ(KBW)のフレドリック・キャノン調査部長は昨年末、こんな依頼を旧知の機関投資家から受けた。
昨年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、FRB(米連邦準備制度理事会)が9年半ぶりとなる政策金利の引き上げを決めた。主要国がいまだに量的緩和を推進する中で、米国だけがゼロ金利から“イチ抜け”した。失業率も5%と2009年のピークから半減している。
「利上げしたばかりなのに、投資家は慎重な見方だな」。キャノン氏は首をかしげた。
ところが年初に入ると、低格付けのジャンク債(ハイイールド債)を中心に、発行体の信用力を示す社債のスプレッド(国債との利回り差)が拡大。KBWが推奨していた大手銀株の急落が牽引する格好で、代表的な株価指数であるS&P500も昨年末比11%安の水準まで下がる場面があった(図1)。
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