国民一人ひとりに番号が付与されたマイナンバー制度。これから国民生活のさまざまな場面で利用されていくが、税務調査、とりわけ相続税での税務調査において、税務署の有用なツールになるに違いない。
資産家にとって相続税申告後の税務調査はできれば避けたいところである。しかし、国税庁の統計では相続税の税務調査件数の内、約80%もの事案で申告漏れが見つかり追徴課税となっている。
申告漏れ(件数ベース)では、「現金、預貯金」「有価証券」が半分を占めており、土地や家屋の評価額の誤りよりずっと多い(図1)。
素人感覚では現金や預貯金、有価証券は隠しやすい財産と考えるかもしれないが、それは間違っている。相手の税務署員は調査のプロ。相続人への質問や、被相続人(故人)の所得税の申告書や個別財産の状況、金融機関への照会などを通じて、相続人の課税逃れをあぶり出していく。
税務調査では調査官からさまざまな質問を受ける。その中には、一見すると遺産や相続に関係ないものが含まれているが、その裏には明確な意図が隠されている。
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