スカイマーク、“二股提携”の皮算用 第三極として存在感は守れるのか?
新興航空会社のスカイマークが日本航空(JAL)だけでなく、全日本空輸(ANA)にも共同運航(コードシェア)を持ちかけたことが明らかになった。「12月10日午後、スカイマークから正式に打診があった」(ANA)という。詳細はまだ決まっていないが、主力路線である羽田空港発着の便をどう扱うかが焦点になりそうだ。
3社によるコードシェアは国際線では珍しくないが、国内では過去に例がない。JALとANAが強い競合関係にあるだけに、業界に波紋が広がっている。元々スカイマークは先行してJALに話を持ちかけていた。が、JALが再生後に新規投資を制限されていることと、国土交通省がJAL単独での支援に慎重な姿勢を取っていることから、スカイマークは前代未聞の“二股提携”を目指すことになった。
スカイマークは今期、従来の機材である米ボーイング「B737」より大型の欧州エアバス「A330」を導入した。全てエコノミークラスなら440席の設計が可能なところを、271席まで減らし、顧客の快適さを優先して追求、差別化を図るのが狙いだ。A330は現在では、羽田―福岡線、羽田―新千歳線に5機就航しており、2015年7月までに10機まで増やす。
搭乗率を80%まで上げたい
ところがこのA330は、同社がこれまで利用してきたB737と比べて、燃料・運航コストが2倍かかる。ただし、座席数はB737と比べて1.6倍にしか増えていない。こうした中で収益を維持するには、運賃を上げる、あるいは搭乗率を上げることが必須なのだが、存在感を増す格安航空会社(LCC)などとの競合上、運賃はなかなか上げられない。
ならば搭乗率を上げるしかない。できれば80%はほしいところだが、現在では60%程度にとどまる。「今のスカイマークでは、A330を飛ばせば飛ばすほど収益を圧迫する」(業界関係者)との声もある。さらに「われわれは販売力を蓄えてこなかった」(スカイマーク経営企画室の戸田健太郎室長)。とはいえ、自力で販売力を上げるには、時間がかかる。そのためJALやANAに販売力を借りるコードシェアを選択したというわけだ。
スカイマークにはJAL、ANAいずれの陣営にも属さない「第三極」として、日本の空に価格競争をもたらしたという自負がある。その存在意義を守るため「JAL、ANA、いずれとも資本提携はしない」(戸田氏)。あくまでもコードシェアによる業績改善を目指すものの、「どちらか一方との共同運航では、どちらかの“色”がついてしまう」(同)。結果として今年度中に双方とのコードシェアを目指す流れになった。
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