日経平均は、どこで下げ止まるか ダウ268ドル安、為替は一時1ドル117円台
③ 最後に、昨年5月にかけての株価上振れは、同4月4日の異次元の緩和が材料となっっていた。直近の株価上昇も、10月末の日銀の追加緩和が材料の一つだ。
これまで当コラムで何度も述べてきたように、日銀が銀行システムに大量に資金を散布しても、企業や家計の資金借り入れ需要が弱いため、銀行から融資などの形でその外側に資金が流れにくく、経済全体としてカネ余りにはなりにくい。
このため、株式市場が、日銀の緩和を過度に期待して上昇するという「間違い」をおかせば、その間違いは訂正させられることとなる。実際、昨年6月半ばの日経平均の安値は、4月4日とほぼ同水準である。「日銀が大胆な緩和をするからカネ余りになるに違いない」という、「誤解による株価上昇」は、その後の株価下落で100%消え去ったと言える。
株価はどこで下げ止まるか
こうした3点の類似点を踏まえると、これから起こるのは、昨年5月から6月にかけてと同様の株価下落だ。
日銀の緩和効果に対する過度の期待が、昨年同様全て消え去るとすると、日経平均は追加緩和発表時の10月末の水準まで下がることとなる。10月31日は、1万5800円強で始まった日経平均が、追加緩和を受けて1万6500円近辺まで上昇して引けた日だった。ということは、日経平均は1万6000円割れまで下がってもおかしくないことになる。
しかし今回は、そこまでの株価下落とはなりにくいだろう。
実際、昨年5月と現在の相違点もある。
最も大きな違いは、今は外国人投資家のうち、年金、投資信託、政府系資金など、長期投資家が日本株投資に参戦していることだ。
こうした長期投資家は、あわてての上値買いはしないため、どんどん株価を押し上げる要因にはなりにくいが、株価が大きく下振れすれば、着実に押し目を買ってくる投資家だ。
また、経済実態面でも、国内企業の収益は増益で揺らがないことが、株価の支えとなるだろう。この点から、前回のコラムでも述べたように、日経平均が1万7000円を割れることは十分ありそうだが、1万6000円を抜けるような下げまで懸念する必要は薄いと考える。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら