韓国サムスン社長に会長の長男、3代世襲へ盤石体制

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実娘も後継レースに?

一方で「李会長は在鎔氏を後継者にすることに不安があるのでは」という指摘もある。李会長の長女の李富眞(イ・ブジン)・ホテル新羅専務(40)が同社代表取締役社長に3日昇格したほか、サムスングループの実質的な持ち株会社であるサムスンエバーランドの経営戦略担当社長にも抜擢されたからだ。

富眞氏は02年にホテル新羅に入社し、免税店などの小売事業を強化して売上高を大きく伸ばした実績を持つ。一方で、在鎔氏は実妹ほどの華々しい成果はなく、00年代初頭にグループを挙げて支援したネット事業を失敗させるなど失点も少なくはない。さらに二女で繊維・化学大手、第一毛織の李敍顯(イソヒョン)専務(37)も副社長に昇格した。

故・秉喆氏はかつて、長男の孟煕(メンヒ)氏を一度は後継者としたものの、途中で三男である健煕・現会長をグループ経営に参画させて兄弟を競わせたことがある。結果的に、前言を翻し、現会長を選んだ。

「将来のサムスンを考えると冷や汗が出て眠れない」。李会長はつねに危機感を訴えて社員に緊張感を持たせることで効率的な経営を追求してきた。それは親子でも例外ではない。「後継の座をつかめるほどの実績を早くつくれ」。自分が受けた同じ試練を与えようとしているのか。

(週刊東洋経済2010年12月18日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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