新発明!不快なエレベータが快適に <動画>ティッセンクルップが目指す革命
ドイツの老舗企業、ティッセンクルップを御存じだろうか。製鉄・機械大手のティッセン社と、同じく製鉄から始まり重機や兵器を製造していたクルップ社という、重工業コングロマリットが1999年に合併して成立した会社だ。
同社はエレベータ事業において、欧州最大シェアを誇る。しかし、世界ランキングをみると、オーチス、シンドラーに続く3位。とくに、現在のエレベータシステムをニューヨークの摩天楼での昇降用に生み出したオーチスの牙城は強力だ。
そこで業界の技術動向を変えるべく、ティッセンクルップが起こそうとしているのが、一大イノベーションだ。ケーブルを用ず磁力で動かす新方式のエレベータを開発したのである。これにより一本のシャフトに沿って多くのキャビンを上下方向にも水平方向にも移動させることが可能になる。「さんざん待たされる」「やっと来ても満員」ということが多い不快な乗り物だったエレベータが、これによって大きく変わるかもしれない。
昔は「パタノスター式」だった
高層ビルにおけるエレベータに関する技術は、1854年にニューヨークで誕生して以来ほとんど変わっていない。ティッセンクルップのエレベータ部門CEOであるアンドレアス・シーレンベック氏によると、その昔に存在したパタノスター式 (低速非停止式) のエレベータがこの新システムを考え付くきっかけの一つになったそうだ。
シーレンベック氏はロイターの取材の中で次のように言っている(40秒~)。
「エレベータのシャフトを最も効率的にうまく使うためには、パタノスター式がそうだったように、たくさんのキャビンを用いればいいのです。もちろんこの型はもはやドイツでは使用が許されていないのですが、ゆっくりとしか動かせないものの極めて効率の良い方式です」。