JR東海×JALのコラボ列車に乗ってみた 商売敵が手を組んでサプライズ合戦

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ドクターイエローの隣でしばらく停車して、参加者は黄色い車両を間近で見ることができた。そのあと、列車は洗浄装置に向かって再び徐行運転を始めた。徐行と停車を繰り返していると、参加者の間から歓声が上がった。「ドクターイエローが追いかけてくるぞ」。

さきほど、車庫内で左側の線路に止まっていたドクターイエローがぐんぐんスピードを上げて、参加者の乗った列車に迫ってきて、そして追い越していったのだ。「これから線路の検査に向かうのだろうか」と思っていると、今度はドクターイエローは引き返してきて、再び車庫に戻っていった。つまり、参加者のためにわざわざ走ってくれたのだ。JR東海のスタッフも「これは知りませんでした。車両基地の人が特別に企画してくれたのでしょうか」と驚きを隠さなかった。

JR東海とJALのコラボの意義

JALとJR東海の乗務員たちが見送ってくれた

17時07分、列車は再び回送線を走って東京駅に戻った。すべての行程が終わり、参加者たちはJALやJR東海の客室乗務員に見送られながら、ホームを後にした。

CAのファッションショー、ドクターイエロー2編成の登場という2つのサプライズも手伝って、参加者は今回のツアーに参加者は大満足だったに違いない。「極端な話、いくらおカネを払っても見せてもらえない場所を見せてもらえたのだから」と、親子で参加した父親はうれしそうに語っていた。

行程の終わりに1つ気付いたことがある。東京―大阪間といえば、新幹線と航空機がシェア争いをしている区間である。いわば商売敵であるJR東海とJALのコラボによるツアーが開催され、その結果が大成功だったということだ。

「訪日外国人2000万人達成という目標に向けて、航空、鉄道それぞれが頑張っているが、お互いに連携できることもある」とJALの担当者は言う。ライバル同士がいがみ合うのではなく、手を握り合うことで思わぬ好結果を生むことがある。今回のツアーはまさにその代表例に違いない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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