大日本印刷が直面する「印刷」の危機、電子書籍に活路はあるか《新「本業」で稼ぐ》

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期待の電子書籍事業でフルライン展開の強み

これに対して、エレクトロニクス分野など、いち早く事業の多角化に成功してきた大日本印刷だが、売り上げ規模が大きく、屋台骨として重要な「印刷事業の危機」は、看過できない問題である。そこで一つの突破口として注力しているのが、電子書籍事業への取り組みだ。

同社では、出版社から入稿されたデジタルデータを、従来の印刷・製本にとどまらず、電子書籍コンテンツの制作・配信にも展開する「ハイブリッド制作ソリューション」をビジネスモデルとして描いている(下の図表参照)。

また、電子書籍コンテンツの販売においては、10年11月25日に、直営の電子書籍販売サイト「ウェブの書斎」を全面的にリニューアルした電子書店「honto(ホント)」がオープンしたばかりだ。

この電子書店は、グループのオンライン書店bk1との連携を強化している。将来的にはCHIグループの丸善や、ジュンク堂などリアル書店ともネットワーク化し、書籍や電子書籍をサイトでも書店でも購入できる、ハイブリッド書店へと進化させるのが狙いだ。 

ただ、オープン時に10万点規模の電子書籍コンテンツをそろえる予定だったのが、電子書籍端末の開発が全体的に後ろ倒しになっていることもあって、約3万点の扱いにとどまるなど、コンテンツ集めに苦心している様子も伝わってくる。

電子書店事業は、大日本印刷にとって、別の意味での挑戦でもある。これまでの事業はほとんどがBtoBのビジネスだったのに対して、今度は一般消費者を相手とするBtoCのビジネスだからだ。

その点について「『電子書店』とはいっても、基本は普通の書店と変わらない。子会社化した丸善、ジュンク堂などの書店経営や、流通事業のノウハウが生きてくる」と、電子出版事業を担当する福田健一・市谷事業部副事業部長は語る。



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