資源国通貨安でリスクオフの懸念 注目されるロシア

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ただ、市場では、行き過ぎた原油安にリスクオフの火種を見出す参加者もいる。三井住友信託銀行のマーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏は「行くところまで行くと原油価格下落も、リスクオフにつながる。資源国が資源価格の下落を全部消化しきって、世界景気に影響を与えないということはない」と話す。

瀬良氏が指摘するのは、価格下落の要因が需要サイドに切り替わるリスクだ。このところの原油価格の下落は、石油輸出国機構(OPEC)の戦略による政治的な動きに起因しているとみられる。これが需要減退による価格下落に振り替われば、ドル/円との相関が逆転していく可能性が出てくるとみている。

原油価格の下落は本来、需要国にはプラスだが、もともと経済が弱っている国や地域では需要が伸びにくい。「最悪のシナリオは、欧州や中国などの需要が後退して資源価格が下落し、その影響が供給サイドにも及んで資源国経済が崩れるという悪循環に陥るケースだ」(瀬良氏)という。

ロシアの苦境

産油国の中でも比較的危険度が高いのはロシアとの見方が出ている。ドル/ルーブル<RUB=EBS>は7月1月以降、半年足らずで原油先物価格の下落率とほぼ同じ約4割の下げとなり、ロシア株式市場でドル建てのRTS指数<.IRTS>も約3割下落した。

ロシアはリーマン・ショック後の原油価格の下落と世界的な不況の影響で、2009年の実質国内総生産(GDP)成長率がマイナス7.8%に落ち込んだ。ただ、当時と決定的に状況が異なるのは、ウクライナ問題に伴って欧米諸国から経済制裁を受けている点だ。

一般消費財を輸入に依存しているロシアは、経済制裁の中で物流が滞り、物価が上昇しやすい。さらにルーブル安による輸入物価の上昇が拍車をかけ、国内物価の高止まりにつながっている。

第一生命経済研究所の主任エコノミスト、西濵徹氏は「ロシアの外貨準備は介入と資金流出で徐々に減少しているが、残高の規模は大きいとされ、ロシアの外貨不足懸念が世界的な経済不安につながっていくには時間的な余裕がある」と指摘する。

ただ、これからの制裁緩和は見通しにくく、民間セクターを中心にドル・ユーロ資金の調達が一段と難しくなることが予想される。「今後1、2年のスパンでみると、ロシア経済が厳しさを増していくとの見方は避けられない」という。

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