キリン、「第3のビール」でまさかの新商品 終売騒動、増税懸念のジャンルで巻き返し

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サッポロの「極ZERO」は第3のビールから発泡酒へ鞍替えした

「極ZERO」の一件を意識して、26日のキリンの新商品会見ではプリン体ゼロ、糖質ゼロを実現した製法に対する質問が相次いだ。これに対し、キリンは「第3のビールと認められる通常の製法で作っている。国税当局とも密にやりとりをした」(キリンビール商品開発研究所の田山智広所長)と、まぎれもなく第3のビールであると主張した。

キリンが第3のビールで新商品を投入することに業界で驚かれた理由はほかにもある。来年の酒税法改正が政府で議論されており、早ければ来春から来夏にも第3のビールに対する酒税は増税となる可能性がある。一方のビールは減税と見られており、安さが売りの第3のビールが増税に伴って値上げされると、その魅力が大きく低下する。当然、販売数量にもマイナスの影響が及ぶだろう。

 増税のタイミングは読めない

価格競争力が落ちる公算の高い第3のビールで新商品を発売することについて、キリンビールマーケティングの布施孝之社長は、「第3のビールが増税になるタイミングは読めない。増税があるからといって、いい製品ができても発売しないのはメーカーの責任を果たしていないことになる」と答えた。

キリンはビール・発泡酒・第3のビールのうち、第3のビールの売上構成比率が最も高い。来年、第3のビールへの増税が実施されると、業績へのマイナス影響は避けられない。リスクヘッジをするならば、売上構成を減税の公算が高いビールへシフトさせる手もある。しかし05年の発売以来、多大なマーケティングコストをかけて確立してきた第3のビールのトップブランドを、そう簡単に捨て置けないという実情もあるだろう。

はたして、キリンの”まさかの新商品”は、逆風も予想される中でどれだけの存在感を示せるのか。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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