ドル基軸解体論も増す G20通貨体制の混沌

11~12日に韓国ソウルで開催されたG20サミット。そこでは基軸通貨国である米国の威信低下を強く印象づける結果となった。

議論の焦点だった「通貨切り下げ競争」をめぐっては、その元凶として米国の量的金融緩和第2弾(QE2)がやり玉に挙げられた。また世界の不均衡是正のため、経常収支に数値目標を定めるガイトナー米財務長官肝いりの提案も、来年前半に議論するという形で事実上先送りされた。

米国はイケイケドンドンで金融緩和をする反面、自己資本の強化など金融規制改革を主導的に推進している。手足を縛った状況で金融緩和しても、銀行は貸し出しを増やさない。結局、大量のマネーが高成長・高金利の新興国へあふれ出ている。

「通貨戦争だ」と言って米国非難を強めるのは、ブラジルはじめ新興国だけではない。先進国からも批判を浴びる米国はもはや四面楚歌に近い状態だ。ドイツのショイブレ財務相は語る。「米国は『中国など新興国が為替レートを操作している』と指摘するが、米国自身が通貨発行によってドルのレートを引き下げている。ドイツの輸出における成功は通貨措置に頼ったものでなく、ドイツ企業の競争力向上によるものだ」。

ガイトナー提案の狙いは、大幅な対米黒字を抱える中国への人民元切り上げ圧力にある。が、経常収支の黒字・赤字を数年内にGDP比の4%以内に抑える数値基準案では、黒字国のドイツも対象に入る(大幅黒字ながら資源国のサウジは対象外)。米中間の対立に巻き込まれてはたまらない、というのがドイツの本音だろう。

そもそも経常収支を数値で縛るのは、各国の輸出競争力強化の努力に水を差し、管理貿易につながりかねない側面もある。G20で成案を得られる保証はまったくない。

政策批判だけならまだいい。ここにきて、ドル基軸の通貨体制自体に対しても見直し論が再燃している。

昨年から中国人民銀行の周小川総裁らが、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)などの「超国家通貨」を、ドルに代わる世界の準備通貨として提唱。今回のG20ではブラジルのマンテガ財務相も支持を表明した。来年のG20議長国であるフランスのラガルド経済産業雇用相も、「G20で協議する」と呼応し、ドル包囲網ができつつある。


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