モスが「引退後アスリート」の支援に光を当てた訳 モスバーガーの加盟店オーナーとして育成したい
「最短1年をメドに加盟店オーナーとして育成」と言い切るのには、先例もあった。
4年前の2018年4月、同社は「サンライズシステム」という独立希望者向けの採用・教育制度を導入した。それ以前から社員独立制度もあり、「この7~8年で本部社員が独立する事例も増えました」(齊藤さん)。いずれも制度の内容は今回と似ており、「アスリート経営者 育成プロジェクト」は、こうした先例をアレンジしたといえよう。
少し引いた視点で「ハンバーガー」を取り巻く環境も考えたい。
コロナ禍で外食産業が不振なのはご存じのとおりだが、ハンバーガー業界は総じて好調だ。「もともとテイクアウトが人気で、デリバリーにも向く」「郊外型店も多く、通勤減の影響が少なかった」などが指摘される。外食異業種からの参入も目立ち、筆者も昨年、レストランチェーンや居酒屋チェーンの新規開業ハンバーガー店を、それぞれ取材した。
「外食産業が不振」と記したが、テイクアウトやデリバリーで注文されるケースも多いハンバーガーは、自宅で食べる「内食」にも対応できる。在宅勤務が定着した2020年以降、「平日の昼食にハンバーガーを食べるケースが増えた」という調査データもある。
一方、モスバーガーの店舗数は前述のとおりで、最大手「マクドナルド」の半分以下だが、全国47都道府県に出店しており、「今後は再び新規出店を強化する方針」と聞く。
24歳で戦力外通告、今では経営コンサルタント
一足先に「競技引退後の人生」を歩む高森さんの横顔も紹介したい。岐阜県・中京高校から2006年の高校生ドラフト4巡目で横浜ベイスターズ(当時)に入団。2009年にはイースタン・リーグ最多安打を記録したが、一軍では活躍できなかった。
「2012年、横浜DeNAベイスターズから戦力外通告を受けました。野球はやり切ったと感じ、自分は何でもできると思いました。でも何をやるかは決めていなかった」(同)
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