コロナ禍でも「売れる商品」「売れない商品」の差 効果的に需要予測をするにはどうしたらいいか

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コロナ禍で需要が減る中、売れる商品の背後には何があるのでしょうか(写真:takeuchi masato/PIXTA)
コロナ禍による環境変化により需要は大きく変動した。売れるはずの商品が空振りする一方で、「マスク」のように予想外の大ヒット商品が生まれた。コロナ禍前後で各メーカーの需要予測も更新を迫られている。ではどういったことを意識すればよいか。そこで、『すごい需要予測 不確実な時代にモノを売り切る13の手法』を上梓した山口雄大氏が、アフターコロナでモノを売り切るための手法を解説する。

コロナ前の需要データは使えない?

2020年の新型コロナウイルスの感染拡大後、さまざまな業界の企業から需要予測をどうすればいいかという相談をいただきました。私は2010年から需要予測に携わっていますが、2014年末以降のインバウンド需要の急拡大と、コロナウイルスによるパンデミックが需要予測の2大イベントだったと思っています。こうした未曽有とも言える大きな環境変化は、今後も発生すると思っておく方がよいでしょう。

今回のパンデミックで強く感じたのは、大きな環境変化の際の需要予測は、急にはできないということです。平時から予測の考え方を整理し、SCMや経営における意思決定を担うビジネスパーソンが予測スキルを磨いておくことが必要です。

2020年のパンデミックをきっかけに、海外でも需要予測オペレーションの見直しが始まっています。これまで需要予測は、1944年に考案されたといわれる指数平滑法をベースとした、高度な時系列モデルで行われるのが主でした。

時系列モデルは需要予測において①水準(規模)、②トレンド(水準変化の方向性)、③季節性(くり返されるパターン)を可視化します。

需要の実績、つまり売上はこれらが組み合わさったものであり、人が目で見て分解するのは簡単ではありません。未来の需要を予測するためには、こうした要素ごとの特徴を把握し、過去からの推移とその背景を解釈することが有効です。

単純な例を挙げると、日焼け止めの需要が4月から5月にかけて増えていっても、それは水準の変化ではなく、季節性によるものである可能性が高いと言えます。この需要の分解を人の判断よりも客観的に行うのが時系列モデルと捉えてよいでしょう。

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