ソニー/ホンダ提携の真意とEV新時代のシナリオ 業種の異なる2社の連携に心躍る本当の理由

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ホンダeのインテリア(写真:本田技研工業)

今のEVは、一見したところ、エンジン車から次へという継承した価値しか見えにくい。だが、EVを知れば知るほど、その社会性は深く、またEVに乗ることで人生観さえ変えさせてしまう力を持つ。EVは移動体だけで終わらず、社会基盤のなかに組み込まれたひとつの駒となり、それを活用することで豊かで安心のある暮らしを生み出せるのである。そのなかには、当然ながら娯楽性も含まれる。人はパンのみにて生きるものにあらずということだ。

自動運転と共同利用が実用化し、普及すれば、運転免許証の有無にかかわらず自由な移動が叶う。高齢化社会で運転免許証を返納しなければならなくなっても、これまでどおりの移動を継続できる。それは自律した自由な暮らしの継承であり、暮らしの自立こそが老若男女共通の喜びである。EVは、そのための潜在能力を備える。そこはエンジン車では難しく、資格を持つ健常者しか扱えない移動手段という価値を超えにくい。

クルマにとらわれない発想が今後求められる

もっといいクルマづくりのなかからは、そうした創造力は生まれない。次の時代のモビリティサービスは、クルマだけにとらわれない発想が必要だ。理想と夢を追い続ける精神が、21世紀の豊かな暮らしを実現するのである。

だからソニーとホンダの提携を通じたEV合弁事業は、話を聞いただけでも心躍るのだ。両社には、それぞれ熱烈な愛好者がいる。2025年にEVが発売されたなら、たちまち人気車種となるのではないか。それこそが、ブランドの力だ。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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