ソニー/ホンダ提携の真意とEV新時代のシナリオ 業種の異なる2社の連携に心躍る本当の理由
両EVに共通するのは、運転席正面のダッシュボード上に液晶画面が並び、そこからさまざまな情報が得られることだ。その画面では多彩な娯楽の演出も行われるはずだが、一見、同様の機能に思えても、実車を見ると、ソニーとホンダでつくりの違いが伝わってくる。
ソニーの液晶画面が並ぶダッシュボードは、あたかも劇場や居間で映像や情報を楽しめそうな空間の雰囲気がある。一方、ホンダのほうは他車にない斬新さはあるものの、自動車メーカーが考えたダッシュボードの造形を超えていない。
同じように横一列に並べられた液晶画面という構成でありながら、その場の雰囲気が明らかに違うのだ。これを見て、ソニーとホンダが互いの得意分野を活かしながら、新たな価値を創造しようとした意図や意義を感じることができる。
それぞれの異なる価値観、そこから生まれる化学反応
合弁会社設立の記者会見場でホンダの三部敏宏社長は、両社が忌憚のない意見交換を重ねることで化学反応が起こることを期待すると述べた。まさに、両社の想像を超えた新しい価値が生まれる可能性がある。それこそが両社が合弁会社を設立することへの期待だろう。
同時にまた、三部社長は、ホンダにはホンダ独自のEV戦略があると語り、この合弁事業がホンダEVのすべてに関わるわけではないことを明らかにした。それは当然であろう。いずれEVへの期待や価値はある目的に向かって収束していく可能性がある。一方で、エンジン車でもセダンやステーションワゴン、ミニバン、SUV、さらにはジープのような未舗装路を得意とする4輪駆動車もあり、利用者の目的に応じた機能や装備が求められてきた。EVとなっても、そうした車種展開は当面起こるはずで、それらをすべてソニーとの合弁のなかで進めることは難しいだろう。
それでも三部社長のなかには、将来の交通社会という未来像のなかで、EVの関わり方として、自動運転や共同利用といった姿を見通しているはずだ。その段階になれば、多くのEVが向かっていく方向性は絞られていく可能性がある。そのときこそ、合弁会社の位置づけがより重くなっていくかもしれない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら