ソニー/ホンダ提携の真意とEV新時代のシナリオ 業種の異なる2社の連携に心躍る本当の理由

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ソニーグループ株式会社 代表執行役会長兼社長 CEO 吉田憲一郎氏と、ホンダの三部社長(写真:本田技研工業)

ソニーにとっては、CMOSイメージセンサーの高性能化や、娯楽に通じる基盤の汎用性という期待とともに、ホンダだけではない関係先の模索も重要だろう。イスラエルのモービルアイは、さまざまな自動車メーカーによって機器が使われることにより、自社内だけでなく世界規模での交通実態という現実情報を入手でき、それによって実走行試験の手間をかなり省いて運転支援機能や自動運転へ向けた制御の作り込みができるようになっているとしている。

つまり、汎用性を持つことが開発時間を短縮し、手間を減らし、結果的に原価を下げることと高性能化の両立がはかられ、さらなる普及に拍車がかかるというわけだ。すでに評価の高いセンサー技術を持つソニーが事業を成長させるには、ホンダだけではない企業との関係性が不可欠となる。

それでも今回、ソニーとホンダが提携したことによって、その技術はホンダが優先的に活用できる道が拓ける。そこは2040年にEVメーカーになると宣言したホンダの強みとなっていくのではないか。

協力体制をつくることで新時代に挑む

両社による記者会見を通じて、伝わるのは、新しい価値へ挑戦する姿であり、ホンダでいえば本田技術研究所の存在理由にも通じる。投資をする以上、その回収は求められるが、まずは何が出てくるか、やってみなければわからない。一度の失敗は受け入れるホンダの気風が活かされる場面だ。さらにソニー独自、ホンダ独自の研究活動だけでは誕生しにくい、新たな時代の要請もあるだろう。

EVメーカーになると宣言するに際して、三部社長の頭のなかにはより具体的な未来の交通社会や暮らしの姿が描かれているのではないかと思う。エンジンをやってきたからこそ、わかることがあるとも三部社長は語ってきた。つまりEVが、単に環境性能を満たすだけの次世代ではなく、新たな価値を生み出す素材であることに気付いたのだ。

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