ソニー×ホンダ連合誕生に車好きが不安になる訳 「ソニーがホンダと組むなら面白い」の逆は?

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ソニーの自動車ビジネス参入について取材を行い、また方々と話をする中で感じていたのは多くの人が「ソニーが作るクルマなら見てみたい」という期待感だった。今回の発表を受けても「ソニーがホンダと組むなら面白いね」という声は、すでに聞こえてきている。しかし一方で「ホンダがソニーと組むなら見てみたい、面白そうだ」というアングルからの議論はあまり盛り上がっていないのが現実である。

ソニーの吉田CEOは「サービスのプラットフォームはこのジョイントベンチャー、あるいはホンダ、そして他のOEM(相手先ブランドによる生産)も使ってくれれば、新しいモビリティへの貢献の幅が広がるんではないかと考えています」と話していたから、つまりホンダとの協業だけではなく、その先まで見据えているのは間違いない。したたかである。

どちらかの“らしさ”が際立つのではなく

他でもない自分もソニーというブランドには思い入れや期待をしてしまうが、一方で長くクルマを論じてきた者としては、その不均衡には悔しいような思いも抱いてしまう。そして正直、今回の発表、会見ではそれも致し方ないかと感じてしまった。ホンダにはぜひ、この新会社から登場するモデル、そしてそれを含むサービスでもプラットフォームでも、あらゆる面で、まさにホンダらしいと感じさせるものをしっかり具現化するべく力を入れてほしいと思わずにはいられない。

「(ソニーとホンダの)両社はともに“らしさ”を求められる稀有な存在」だと、三部社長は話していた。そのとおりである。それだけに、どちらかの“らしさ”が際立つのではなく、互いのそれがぶつかり合い、溶け合って、これまでにない魅力をもったプロダクト……あるいはプラットフォームやサービスに結実する姿こそを、2025年に登場するという新会社からの第1弾モデルには期待したい。

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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