ソニー×ホンダ連合誕生に車好きが不安になる訳 「ソニーがホンダと組むなら面白い」の逆は?
モビリティ業界に訪れた過去にないほど大きな変革の波の中、それにのみ込まれるのではなく主体的に変革を行い、新しい時代をリードする存在となりたいとホンダが考えた時に、ビジョンを共有できたのがソニーだったという。意地悪な見方をすれば、ここでホンダはそのビジョンを独自に具現化するのは難しいと考えた、とも言えるかもしれない。
三部社長はモビリティの概念の変化を「モビリティが単なる移動手段、所有の価値というところから発展して、デジタルとリアルを、社会と個人を繋ぐ、ひとつのターミナル、デバイスになっていく」と捉えているとした。
すでにホンダは2040年の内燃エンジンからの完全撤退、ラインナップのBEV(バッテリー電気自動車)&FCV(燃料電池車)化を明言しているが、この日も改めて「クルマから内燃エンジンを下ろしてバッテリーにすれば電動化だとは思ってない。社会構造が変わっていく中で新しい価値を提供するもの」だと話していた。そこではソフトウェアの重要性が高まるのは自明であり、今後の自動車ビジネスがハードを売ってナンボというものから、プラットフォームビジネスに近づいていくのは間違いない。
ホンダは将来のコア部分をソニーに半ば託していいのか
実は拙著『2022年版 間違いだらけのクルマ選び』では今後のホンダの電動車の事業・商品を統括して見る責任者の立場となる本田技研工業 電動事業推進室 ビジネスユニットオフィサー シニアチーフエンジニア、岡部宏二郎氏に話を聞いている。
ここで語られていたのも、まさに「今後はプラットフォームを下にして、その上にコンテンツとしてモビリティがあり、トータルでホンダが提供するライフラインを提供していくというような総合サービス提供企業になっていくというイメージです」という話だった。「これからはモノというより豊かな時間を提供するブランドになっていきたいと考えています」というように。
今回のソニーとの提携合意は、まさにそうした流れの延長線上にあるものと言えるが、一方で不安なのは、こうした将来の自動車ビジネスのコアになる部分を、自社で生み出すのではなくソニーという他社に半ば託してしまっていいのかということである。実際、今回のプレスリリースにはこう書かれている。
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