「そごう・西武売却」、1次入札で残った顔ぶれ 不動産として店舗の切り売りが始まるのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
百貨店事業の切り離しに動き出したセブン&アイ。写真は旗艦店の1つである西武池袋本店(編集部撮影)

「彼らに売却されたら店舗を単なる不動産として扱われ、切り売りされて終わるのではないか。もう百貨店ではなくなるかもしれない」。そごう・西武の幹部はそう嘆いた。

流通グループ最大手のセブン&アイ・ホールディングスが2月末に実施した、傘下で百貨店を運営するそごう・西武の売却に関する一次入札で、投資ファンド4社が残ったことが東洋経済の取材でわかった。

そごう・西武をめぐっては2006年、前身であるミレニアムリテイリングをセブン&アイが2000億円超で子会社化。しかし百貨店業態の地盤沈下も相まって、長きに渡って最終赤字に陥るなど、不振な状況が続いていた。

さらに、セブン&アイの発行済み株式4.4%を保有する米投資会社のバリューアクト・キャピタルからコンビニエンスストア以外の不採算事業の売却を求められるなど“外圧”が高まっていた。結果として背中を押されたセブン&アイは、そごう・西武を売却する方針を固めていた。

外資系投資ファンド4社が残る

事情に詳しい関係者によれば、1次入札は2月21日に締め切られ、ゴールドマン・サックスをはじめとする外資系投資銀行や、多数の投資ファンドなどが応札。その結果、米大手投資ファンドのブラックストーン・グループ、米ローン・スター、米フォートレス・インベストメント・グループ、そしてシンガポール政府投資公社(GIC)の4社が残り、2次入札に進んだという。

このうちブラックストーンは、近鉄グループホールディングスから保有ホテル8施設を始め、東京や大阪などの賃貸マンション約220棟を購入。また、三越伊勢丹ホールディングスの子会社で賃貸住宅事業を手がける三越伊勢丹不動産も買収するなど、日本における不動産投資に積極的だ。

GICも、西武ホールディングスから「ザ・プリンス パークタワー東京」など、国内ホテルやスキー場など合わせて30の施設を1500億円程度で買収する基本契約を締結するなど、やはり日本で不動産投資を加速させている。

こうした4社が残ったことで、そごう・西武の幹部は冒頭のように危惧しているわけだ。

「もちろん売却後も、池袋や横浜など、旗艦店に関してはサブリースのような形で百貨店を運営するという道もあるだろうが、彼らはいずれも短期のリターンを求める投資ファンド。儲からない百貨店を続けていくつもりなどないだろう」と別のそごう・西武の幹部は懸念する。

これから4社は、資産査定などを行ったうえで2次入札に進む。期限は5月中旬だ。

デジタル特集「セブン 5年後の絵姿」では、無料の東洋経済ID登録で以下の記事をお読みいただけます。

セブン、米ファンドと噛みあわない応酬

セブン、「アメリカ重視」がもたらす光と影

データで見る!日米セブンの「意外な差」

田島 靖久 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』が小社より24年12月発売予定。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事