セブン井阪社長「イトーヨーカ堂は手放せない」 米ファンドの切り離し要求に真っ向反論

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米バリューアクトはセブン&アイに対し、総合スーパーのイトーヨーカ堂の切り離しを訴えている(編集部撮影)

「バリューアクトさんが考えていることだけでは、国内事業はうまくいかない」

アメリカの投資会社であるバリューアクト・キャピタルから、事業変革の必要性を求められているセブン&アイ・ホールディングス。バリューアクトが新たな資料を公表した2月9日、セブン&アイの井阪隆一社長は自宅前で記者たちにそう断言した。

セブン&アイの4.4%の株式を持つバリューアクトが、1月26日の公開質問状に続いて公表した「改革案」では、コンビニのセブン-イレブンが「グローバルチャンピオン」になるための施策が提言されている。注目すべき点は、コンビニ以外の「非コア事業」の切り離しを訴えた点だ。

「真摯に対応するしかない」

中でも早期の切り離しを求めたのは、百貨店のそごう・西武と総合スーパーのイトーヨーカ堂だ。

そごう・西武については売却を、イトーヨーカ堂については売却、もしくは食品事業に集中したうえでのスピンオフ(分離独立)を提案している。この2子会社は同業の上場他社より利益率が低く、グループシナジーも得られていないとバリューアクトは指摘する。

セブン&アイはそごう・西武の入札を2月末にも実施すべく動き出している。「その次」はイトーヨーカ堂が焦点になるとみられているが、井阪社長は「イトーヨーカ堂は必要」とバリューアクトの提案に反論した。

イトーヨーカ堂の必要性を強調したセブン&アイの井阪社長。写真は2019年10月の決算会見時のもの(撮影:今井康一)

「日本のマーケットは複雑。少子高齢化で人口も減っていく中、国内のセブン-イレブンはサービスや商品の取り扱い範囲を見直していかなければならない。その際、食品を充実させるためにもイトーヨーカ堂が必要だ」。井阪社長はそう強調する。

セブン&アイでは実際、イトーヨーカ堂、セブン-イレブン、さらにはヨークなどの食品スーパーが一体となり、食品戦略を強化しようとしている。原材料やレシピの共有、スーパーが強みとする生鮮食品のコンビニでの取り扱いなどを進めている最中だ。

「真摯に対応していくしかない」。井阪社長は記者たちを前にそう繰り返した。ただ、1月26日の公開質問状に対するセブン&アイの“実質ゼロ回答”に、バリューアクトが間髪入れず改革案を突き付けた。落としどころはそう簡単に見つかりそうにない。

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中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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