ロシア全土でATM(現金自動預払機)の前に外貨を引き出そうとする人の長い列ができた。ウクライナ侵攻に対する制裁措置が西側諸国によって強化され、通貨ルーブル急落懸念が広がっている。
先週末比3割高くてもドルが欲しい
一部の銀行は25日終値を3割余り上回る高値でドルを売却し、多くのエコノミストがロシア中央銀行に利上げを促し得る心理的に重要な水準とする1ドル=100ルーブルをかなり上回るドル高ルーブル安になっていたにもかかわらず、外貨購入意欲は衰えなかった。ロシア国民は矢継ぎ早に繰り出される制裁措置の内容消化が追いつかない状況だ。
名字を明かさずウラジーミルとだけ名乗ったプログラマーの男性(28)はモスクワのショッピングモールでATMの順番を待ちながら取材に応じ、「1時間並んでいるが、外貨はどこでも消えていて、ルーブルしかない。こんなことになるとは思っていなかったので出遅れた。ショックだ」と語った。
ロシアのウクライナ侵攻に対する制裁措置として米国と欧州連合(EU)は週末、国際銀行間通信協会(SWIFT)の国際決済ネットワークから一部のロシアの銀行を排除することで合意。またロシア中銀が保有する外貨準備の利用制限も決めた。欧州諸国の多くはロシア航空機に対し領空を閉鎖しており、物理的に現金をロシアに運び込むことも困難になりそうだ。