ですから、量的緩和のやり過ぎによって円安が過度に進めば、2014年4月の増税も重なって、各種の経済指標が大幅に悪化し、景気後退に陥るリスクが顕在化するのは、初めからわかっていたことです。国民の実質賃金が下がり、それと併行するように、格差が拡大していくのが目に見えていたわけです。
私は経済の予測を述べる時に「必ず」とか「間違いなく」という言葉は極力使わないようにしていますが、アベノミクス(過度な量的緩和)に関しては、2013年5月14日のブログをはじめ、いろいろな媒体で「間違いなく失敗します」と断言してきました。経済の本質以前に、物事の道理や本質から考えれば、当然の結論だったわけです。
安倍政権や黒田日銀は、消費税増税をするために、株高を演出する経済金融政策を実行してきました。公共投資を大幅に増やしたし、大型の補正予算まで行いました。半ば企業を脅して、ベアの大幅な引き上げも達成しました。だから、消費税増税はアベノミクス失敗の根本的な理由にはなりえません。
消費増税を延期しても、2015年に景気後退入りも
そもそも物価上昇率に占める消費税増税分(試算では2%と言われている)を差し引いても、国民の実質賃金は安倍政権発足前よりも下がってしまっているのです。直近の9月の実質賃金指数は前年同月比で2.9%の下落(増税分の影響を除けば0.9%の下落)、15か月連続で下がってしまっているわけです。
これは、リーマンショック時の特殊な時期を除けば、デフレ時のほうが実質賃金下落率は小さかったという事実を示しています。リフレ派はアベノミクス失敗の理由を消費税増税のせいにするでしょうが、そんな責任転嫁が認められるはずがありません。
そもそもリフレ派はある重鎮は当初、「アベノミクスの効果は半年で出る」と言っていたのですが、それが「1年で効果が出る」、「2年で効果が出る」と、時が経過するたびに効果が出る時期の修正を繰り返しています。消費税増税をリフレ派の免罪符にしてしまっては、日本人の経済リテラシーはいつになっても上がらないのではないでしょうか。
現時点で、アベノミクスへの審判はすでに下っていると思われます。このまま政権と日銀が愚鈍な政策を続ければ、仮に来年10月の消費税増税を延期したとしても、2015年には景気後退入りする可能性が極めて高くなってしまうでしょう。ですから、とくに日銀の金融政策には強く再考を促したいところです。
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