続々上場!弁護士、医師がなぜベンチャー? 弁護士ドットコム×メドピア 社長対談

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石見:食べログのような飲食店の口コミ情報も売り上げを左右するでしょうけれど、薬はもっと金額が大きくて、ひとつの薬剤で数千億円の売り上げがあるものもある。それがちょっとした風評で売り上げが下がれば会社は大損害です。

――たたかれるかもしれないとわかっていて、製薬会社のイベントに出ていたんですか。

石見:そうです。当時は薬剤師さんが集まるような会には製薬業界の人がけっこういました。あとは製薬会社の社内勉強会にも行きました。とにかく理解を得られるまでは、呼ばれたらしゃべりに行こうと決めていたんですよね。

メドピアがビジネスとして成立し始めたのは3年くらい前で、製薬会社のファイザーと提携するというプレスリリースを出した頃からです。それ以降はいろいろな製薬会社が、講演依頼ではなく取引の声をかけてくれるようになりました。

元榮:製薬業界は、大手1社の動きに、ほかも追従してくる感じなんですね。

石見:結構そういう印象がありますね。それまでは先方も興味はあるので話し合いのテーブルにはついてくれるのですが、役員会に通すまでには至らず、最後の最後にハシゴを外されるようなことが多かった。ファイザーはアメリカの会社なので、新しいことをとりあえずやってみようという文化が比較的あるようです。

元榮:じゃあ最初の1社がきっかけとなって。

石見:それまでもいくつかの小さい会社とは取引がありましたが、やはりファイザーは世界最大ですから影響力も大きい。ですから一本釣りで狙っていきました。

――そうなると、メドピアではビジネスとして、ファイザーの薬を取り上げることが多くなったりするんでしょうか。

石見:いえ、ファイザーも武田薬品も関係なく、われわれと契約しているいないにかかわらず、すべて勝手に評価します。われわれのサイトには今、日本で使われている約2300薬剤のデータがあって、これは薬の売り上げベースの9割以上をカバーしています。基本的に医者が思いつくような薬は、すべてメドピアの中で評価されているという状況です。

――では、ファイザー側にはどんなメリットが?

石見:ファイザーの薬もほかの会社の薬と同様に評価されますが、違うのは詳しい紹介ページにリンクされることです。たとえばファイザーが「チャンピックス」という禁煙の薬を出しているとしたら、「チャンピックス」に興味のある医者がその評価を見に行くでしょう。するとそのタイミングでファイザーは「チャンピックス」の宣伝ができる。

グーグルアドワーズにちょっと近い、ユーザーフレンドリーな広告を実現しているということですね。

――なるほど。お医者さんは薬を選ぶのに、ほかの医師の口コミを参考にしたがっているし、製薬会社にもメリットがある。弁護士ドットコムにしても、弁護士と一般の人の距離の遠さを痛感していたからこそのアイデアで、実際に弁護士を助けることにもなる。いずれも、業界を深く知るからこそ生まれたビジネスというわけですね。(次回に続く)

(構成:長山清子)
 

吉川 明日香 東洋経済 編集者

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よしかわ あすか / Yoshikawa Asuka

早稲田大学商学部卒業後、2001年に東洋経済新報社に入社。記者として食品、建設、精密機械、電子部品、通信業界などを取材し、『週刊東洋経済』や『会社四季報』等に執筆。2度の産休・育休を経て復帰。2012年秋の東洋経済オンラインリニューアルより、同編集部。2016年4月から東洋経済オンライン副編集長、2020年10月から東洋経済オンライン編集長。2023年4月より編集部担当部長。

 

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