アパレルで再編の気運、追い込まれる前に連合を形成
互いに持っていないものを補う統合でシナジーは最大限発揮できる」。中島芳樹・東京スタイル社長は記者会見で自画自賛した。
「ナチュラルビューティーベーシック」を擁するサンエー・インターナショナルと「22オクトーブル」を抱える東京スタイルが2011年6月に経営統合する。売上高は1500億円を超え、ワールド、オンワードホールディングスに次ぐ、業界3位のアパレル企業となる見込みだ。
商品企画力には定評のあるサンエーと、中国直営工場など生産体制に強みを持つ東京スタイル。主要顧客はサンエーが20代、東京スタイルが30~40代と重複しないうえ、「両社ともレディスが主力で縫製工場を集約しやすい」と、衣料品コンサルタントの生地雅之氏は分析する。
もっとも今回の統合について、業界内では「うわさすら出なかった」(オンワード幹部)。アパレルの場合、「強いブランドが一つあれば何とかなる恵まれた業界」(三宅孝彦・サンエー社長)というのが、共通認識だからだ。
だが今後淘汰は時間の問題だ。主要販路である百貨店の既存店売上高は9月まで31カ月連続の前年割れ。その百貨店は従来縁のなかった「渋谷109」などに入居する、ファッションビルブランドまで投入している。低価格の外資系ファストファッションの進出も目白押しだ。「結果的に少なくなった販路を多数のアパレルで奪い合っている」(田中俊・SMBCフレンド調査センター主任研究員)。
逆風はそればかりでない。主力生産基地である中国の「激変」も焦りを募らせる。