タカタ、今期最終赤字250億円に拡大 リコール費用追加で

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 11月6日、エアバッグ製造大手のタカタは、2015年3月期の連結純損益が250億円の赤字(前期は111億円の黒字)となる見通しと発表した。従来は240億円の純損失を見込んでいたが、赤字幅が膨らむ。写真は、タカタのロゴ、5日撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

[東京/大阪市 6日 ロイター] - タカタ<7312.T>製のエアバッグを搭載した自動車の大量リコール(無償の回収・修理)をめぐり、同社は6日、2015年3月期の連結純損益が250億円の赤字(前期は111億円の黒字)になるとの見通しを発表した。リコール費用を積み増し、従来予想から最終赤字は10億円拡大する。

今後リコール対象が広がれば、さらに赤字は膨らむおそれがある。

業績悪化を受けて、同社は未定としていた中間配当(前年は15円を実施)をゼロとすることも合わせて発表した。2006年11月の上場以来、中間で無配になるのは初めて。

野村洋一郎・執行役員は同日の決算会見で冒頭、一連のリコールについて「多大な迷惑、心配をかけて申し訳ない」と陳謝した。また、リコール問題により、下期の受注が「キャンセルされていることはない」と述べ、事業に影響は出ていないとの見解を示した。

同日発表した4―9月期の連結決算では、特別損失として499億円を計上。リコールに伴う製品保証引当金は476億円と4―6月期から29億円増やしたほか、和解金23億円を新たに計上した。和解金はカルテルをめぐる米国での訴訟関連費用で、今回のリコール問題とは無関係という。

<7―9月期でのリコール追加費用23億円>

7―9月期にリコール追加費用として新たに引き当てたのは約23億円。トヨタ自動車<7203.T>の3万台弱、ホンダ<7267.T>の約6万3000台、日産自動車<7201.T>の約5万8000台、米ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>の約1万台の計約16万1000台分を追加のリコール対象とした。

タカタ製エアバッグをめぐっては、「インフレ―ター」と呼ばれるエアバッグを膨らませるガス発生装置に欠陥があるとみられており、エアバッグが作動した時に異常な破裂が生じて金属片などが飛び散り、乗員がけがをするおそれがある。

米国では死亡事故が発生しており、集団訴訟も起きている。今後、リコールのさらなる拡大や訴訟費用も想定されるが、現時点ではその金額を「合理的に見積もるのは困難」(タカタ)として、今回の決算では織り込んでいない。

<同業のダイセル、事業への影響出てない>

インフレ―ター製造大手のダイセル<4202.T>も同日、決算を発表した。大阪市内で会見した福田真澄・専務執行役員は、エアバッグ問題を受けたインフレ―ターの受注動向について、現時点でホンダやタカタなど顧客からの注文増の話は「何も来ていない」と述べ、「仮にそういうお話があれば対応というか、検討をさせていただく」と話した。

ただ、タカタ製インフレ―ターと同じものを他社が生産するのは難しいとし、同分野での設備投資も「情報がない状況で検討するのも無駄だと思う」との姿勢を示した。

タカタ製エアバッグのインフレ―ターには、タカタの内製品に加え、ダイセル製品も採用されている。ダイセルにとって、タカタは競合だが、納入先でもある。

ダイセルによると、エアバッグ用インフレ―ター市場は新興国向け車両におけるエアバッグ装着率の向上などで、中長期的には成長傾向にあるという。ただ、今回のリコール問題を受けてインフレ―ター全体の「需給がひっ迫しているということはない」(福田専務)といい、同社の通常の事業には影響しないとの見方を示した。

ダイセルは15年3月期の連結業績予想を上方修正。セルロース事業など、インフレ―ター以外の販売が堅調に推移しているという。売上高予想は従来の4320億円から4400億円(前年比6.3%増)、営業利益予想は410億円から470億円(同24.0%増)に引き上げた。トムソン・ロイターの調査によると、アナリスト8人の営業利益予測平均値は462億円で、会社予想はこれをやや上回っている。

インフレ―ターなどを手がける火工品事業の今期売上高予想はやや下方修正したが、同事業の営業利益予想や設備投資計画は据え置いた。

 

 

(白木真紀、斎藤真理、長田善行 編集:吉瀬邦彦)

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