中国勢と同質競争をやっても意味がない、シャープの太陽電池事業“生存策”
1963年の量産開始以来、太陽電池の事業化で世界をリードしてきたシャープ。しかし、長く堅持してきた世界シェア首位座からは2007年に陥落、現在は低コストに強みを持つ米ファーストソーラー、中国サンテックの後塵を拝す。太陽電池の低価格競争がますます進行する中、シャープはこの先どう生き残るのか。太陽電池事業を統括する大西徹夫・常務執行役員に聞いた。
--世界市場の先行きについて、どう見ているか。
太陽電池の世界市場は2年後に現在の7割伸びる。当社予測では09年度は8.4ギガワットだったものが11年度には14.5ギガワットになるとみている。なかでも顕著に市場が拡大するのがアメリカだろう。米連邦政府が実施する新エネルギー投資減税と、州ごとの新エネルギー導入義務(RPS)制度に支えられて市場は09年0.5ギガワット、10年1.3ギガワット、11年2.9ギガワットへと、倍々で拡大するとみている。世界競争に勝ち残るうえでも、アメリカ市場は絶対に押さえなければならない。
--9月に米国の太陽光発電開発事業者(デベロッパー)であるリカレント社の買収を発表たが、シャープの米国事業における狙いは何か。
市場の9割が住宅の屋根用である日本とは違って、米国では各電力会社が設置する太陽光発電所用が中心になりつつある。そうした太陽光発電所の建設において、重要な役割を担うのがリカレント社のような太陽光発電デベロッパーの存在だ。
彼らは用地買収から権利・申請関係、建設レイアウト、資金調達など、太陽光発電所の計画全般をアレンジするまさにコア役。リカレント社はその米国大手だ。シャープは中長期的に、太陽光発電施設のEPC(設計、調達、建設)・サービス事業にまでバリューチェーンを広げていく戦略を掲げており、そうした川下事業の中核的な役割を担う。