スバル、止まらない米国での快進撃 2020年度の中期目標は前倒しで達成も

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富士重の為替想定は1ドル104円。足元では日銀のサプライズ緩和で円安がさらに進んでおり、仮に110円台が年度末まで続けば同社の営業利益はさらに数百億円単位で押し上げられる。ただ、今年度の世界全体の販売計画のうち、6割近くを米国が占める。裏を返せば、米国市場で勢いよく拡大しているがゆえに、何らかの要因で円高に反転した時のリスクも以前よりも大きくなっているわけだ。たとえ市場が盤石だとしても、”米国一本足”の危うさは常につきまとう。

日本での販売に課題

こうした為替リスクのほかに喫緊の課題は国内販売だ。今回、通期の利益見通しを上方修正したが、世界全体の販売台数を従来の91.6万台(前期比11%増)から90.9万台(同10.2%増)に下方修正している。その主要因が国内で、販売台数は従来計画の19万4900台(前期比7.3%増)から一転して前年比でマイナスとなる16万6500台(同8.4%減)に引き下げた。

10月24日に行った6代目「レガシィ」の発表会(撮影:今井康一)

今回、自社生産している登録車と、ダイハツ工業から供給を受けている軽自動車の両方の販売計画を引き下げたが、特に下げ幅が大きかったのが登録車だ。「4月の増税以降、消費の回復は想定より厳しい状況。上期を受注ベースで見ると、前年同期と比べて15%ほど減っている。われわれの商品は安い車ではないので、どうしても影響を受けやすい。少なくとも年内は厳しい」と吉永社長も苦戦を認める。

幸い、2014年6月に発売した新型ワゴン「レヴォーグ」は、輸入車ユーザーの取り込みなどが奏功。直近9月の月販は7800台と、発売当初の月販目標3200台を大きく上回る月が続いている。8月には「WRX」シリーズ、そして10月からは日本でも「レガシィ」シリーズの新型が発売された。吉永社長も「(登録車に関しては)昨年度を割りたくないという強い気持ちがある。テレビCMもぐんと増やす」と意気込む。

米国は上り調子でも、国内の苦戦を見ると手放しで喜べないのが今の富士重といえる。新型車で消費をどれだけ刺激できるかがカギとなりそうだ。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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