低燃費タイヤが「市場開花」、開発競争は百花繚乱!

「時代をさかのぼると安全性や運動性能、静粛性などが重視されてきた。燃費性能が注目されるのは、タイヤの歴史始まって以来の大きな変化だ」。松本邦裕・UBS証券アナリストはこう指摘する。「既存製品が一通りモデルチェンジする今後4~5年で、市販タイヤのほとんどは低燃費タイヤとなるだろう」。

高い人気を反映して、JSRや日本ゼオンといった化学メーカーでは、低燃費タイヤ向けの高機能合成ゴム(スチレン・ブタジエンゴム)の増産計画を相次いで決めている。

同じようなことが、おそらく今後の欧州市場でも起きる。さらに最近では、新興国でも低燃費タイヤが注目され始めている。

今年6月、ブリヂストンの荒川詔四社長は正直、驚いた。エコピアの発売に当たり、中国47都市で商品説明会を開いたところ、計画をはるかに上回る来場者が押し寄せたのだ。「新興国の環境対応ニーズは、相当なスピードで先進国に近づいていく」。荒川氏はそう確信した。ブリヂストンは今月からエコピアをインドやタイなどアジア6カ国で相次ぎ販売する。

ナノテクまで駆使する 新素材探しの熾烈

タイヤが環境貢献の黒子から表舞台の主役に押し上げられた今、メーカー間の開発競争は激しさを増す。中でもゴム素材の改良研究は活発だ。

転がり抵抗の9割はタイヤの変形が原因となる。ゴムが伸び縮みする際、分子同士がこすれて発熱し、エネルギーロスとなる。逆に言えば、分子構造を変えれば、タイヤ自体がどのようにひずんでも発熱量は抑えられる。

対応が早かったのはミシュランだ。1993年、自然の砂に含まれるシリカを配合することで分子間の摩擦をそうとう抑え込んだ。初代グリーンXだ。最近ではブリヂストンがナノ技術を駆使した素材開発を熱心に進める。自然な状態では、ゴムの中でシリカはしばしば、数個くっついた状態になる。これをナノ技術で整列させて相互干渉を防ぐのだ(下表)。「タイヤが地球の大きさだとすれば、ネジ1本分の大きさの分子をいじっている感覚になる」(濱田達郎・ブリヂストン執行役員)。

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