北朝鮮、日本企業を歓迎するもう1つの顔 平壌の大規模見本市に押し寄せる市民
北朝鮮自身は、経済面で海外との接触を増やそうとしている。昨年3月の朝鮮労働党中央委員会全員会議で、「対外経済事業をしっかりと行っていく」と発表。金正恩第1書記も対外貿易の多角化・多様化の推進を指示。その一環として、同年5月には「経済開発区法」を制定し、同年11月に13地区を経済開発区に指定し、さらに今年7月には6区を追加指定している。
「日本だからといって(投資を)拒否することはない。日本企業が早く来てくれれば、国交正常化に向けた協力の前提となる」。経済開発区を管轄する対外経済省国家経済開発総局の金正植(キムジョンシク)課長は、本誌のインタビューに対しこう断言した。
さらに金課長は、「企業が希望すれば、一つの経済開発区全体を日本企業に任せてもいい」と言い切る。日本人記者へのリップサービスという感じもするが、投資誘致に懸ける意欲を感じられる。
経済開発区は最終段階に
金課長の説明によれば、昨年指定された経済開発区は総合的な計画立案の最終段階にあるという。また、北朝鮮は30カ国と投資奨励・保護関連の協定を結んでおり、15カ国とは二重課税防止協定も締結したと紹介。さらに、経済開発区への進出は合弁でも単独資本でもいかなる形態でもよく、金融機関の設立も可能で、得られた収益は自由に送金できると付け加えた。
とはいえ、現段階では日本企業が北朝鮮に投資することは、ほぼ不可能な状態だ。日本人拉致問題の解決に向けて動き始めているが、日本が参加する国際的な経済制裁が解除されるまでには程遠い。
1980~90年代に北朝鮮とのビジネスにかかわった日本の商社マンは、「豊富な地下資源などは確かに魅力」としながらも、「日本と近いとはいえ、人口は2400万と韓国の半分。不透明な法規制や運営など不安な点が多い。政治外交的な条件が整ったとしても、北朝鮮はそれほど魅力的な市場ではない」と言う。
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