「トルココーヒー」は断ってはいけない!? 現代に生きる、イスラムの「もてなし」心

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イスラムでは必要なときに人を助けることは、とても重要な教えとされています。先進国では子どもにあまり手を出さないところも多いですが、トルコでは大人になっても子どもが困っていれば手を貸すのですよ。人と人とのつながりを大切にしていることがトルコを強くしていると思います。

――お茶や食事を通して人と人とのコミュニケーションでとても大切にしているのですね。トルコの人はトルコ料理がとても好きで、あまり海外の料理を食べないという話を聞いたことがありますが、どうですか?

最近はそうでもないですが、以前は海外にでたことがない人も多かったので、警戒しているのです。それにハラル(イスラム法上で食べられるもの)に気をつけているからかもしれませんね。

――最近日本でもハラルフードへの関心が増えてきていますよね。

そうですね。ハラルフードの意識を持つことはイスラム圏からの旅行者を増やすためにも、とてもいいと思います。政府もサポートして、ハラルの醤油やソースなども作られているので、これから増えてくると思いますよ。

あと広がってほしい情報は、トルコ料理はとても多様で、たくさんの料理があるということです。日本ではトルコ料理=「ケバブ」というイメージですが、ほかにもたくさんおいしい料理があるのです。

――トルコ料理は世界3大料理とも言われていますよね。

そうです。地域ごとにさまざまな料理があります。私も今でもトルコで地方に行くと新しい料理に出合います。海の地域ではシーフード、東南ではお肉、気候から野菜もとても豊富です。レーズンやヘーゼルナッツなども特産で、お菓子も数えられないほどいろいろな種類がありますよ。料理によって地域の文化も異なるのです。ぜひ地域を回ってその違いを知っていただきたいです。

ほかのイスラム国との決定的な違い

――今日いただいているお菓子も色がきれいで、とってもさわやかな味ですね。

赤がローズ、黄色がレモン、緑がミントです。目でも楽しめますよね。

ビジネスの話に戻すと、この10年でトルコは急激に変わりました。ほかのイスラムの国とトルコが異なるところは、「セキュラリズム(世俗主義)」であることです。

――政治と宗教が分かれているのですね。

はい。その点でイスラムの国の中でも、日本人にとって住みやすい国のひとつだと思います。

トルコは「近代化」に積極的なのです。その点でほかのイスラム教の国と一緒に考えると、ビジネスの仕方を間違えてしまうかもしれません。国際結婚も多いので、ほかの国の文化に慣れていますし、トルコ自体がいろいろな文化が融合した国で、それがうまくハーモニーをもたらしています。食が豊かなこともそこからきているのかもしれませんね。

72の政党があり、4年に1度選挙があり、5年に1度大統領選挙があるなど、EU諸国のように民主主義です。いろいろな文化があるので、違いがあって当たり前。違う意見に寛容なのです。

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