ウクライナ情勢の緊張悪化を受けて10年物米国債利回りが1.9%を下回った。
ロシアのプーチン大統領は21日、親ロシア派武装勢力が独立を宣言していたウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両州を共和国として承認。独立承認の文書には、ウクライナの分離派が実効支配する地域への「平和維持部隊」派遣を国防省に命じる内容が含まれたため、懸念がさらに高まったもようだ。米欧政府はこうした行動を非難し、経済制裁の準備をしている。
プーチン氏、ウクライナ親ロシア派の独立承認-部隊派遣命じる
米国債市場のボラティリティーは今月、米連邦準備制度の刺激策引き揚げ見通しとウクライナ情勢の緊迫化に伴う安全資産需要の綱引きの中で高まっている。
オーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)の債券および外国為替戦略責任者、マーティン・ウェットン氏は「ウクライナの問題がくすぶり続け安全資産が重視される中で、米国債利回りは下振れリスクがあるとみている」とした上で、「何らかの解決を見れば、話題は利上げに戻り、利回りは2%超に戻るだろうが、幅広いレンジが続くと思われる」と分析した。
米国債はあらゆる年限で値上がりし2年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.44%、30年債は5bp低下の2.19%となった。
一方で、原油高騰がインフレ懸念を高めることで、米国債利回りの低下は限られる可能性がある。ウクライナ危機は供給混乱につながり得るとの懸念から、原油相場の上昇につながっている。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のオーストラリア・ニュージーランド経済・金利戦略責任者、トニー・モリス氏は、「米市場の休場明けに先立ち、米国債は明らかに資金逃避先の地位を獲得している。しかし、地政学的緊張による石油価格の上昇は、政策立案者のインフレ懸念を緩和するものではない」と述べた。21日の米市場は祝日のため休場だった。
スワップトレーダーはウクライナ危機でも今年残り7回の米連邦公開市場委員会(FOMC)のほぼ全てで利上げとの予想を変えていないようだ。3月の50bp利上げ確率はほぼ20%が依然織り込まれている。
原題:Treasuries Rally to Send 10-Year Yield Under 1.90% on Ukraine(抜粋)
More stories like this are available on bloomberg.com
著者:Garfield Reynolds
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら