昭和20年から売れ続ける「即席カレー」の正体 愛知のメーカー「オリエンタル」が守ってきた事
ロングセラーとなっているのは、定番商品ばかりではない。昭和58年(1983年)に発売されたレトルトタイプの「男乃カレー」は、そのネーミングといい、かなりとがった商品である。ターバンを巻いた男性の肖像画が描かれたパッケージからもわかるように、本格的なインドカレーをレトルトで家庭の食卓に届ける、というコンセプトを基に開発が進んでいった。
「最も熟慮を重ねたのは、辛さの度合いでした。日本人の味覚にどの程度合わせるのかを検討した結果、日本人向けにいっさいアレンジせず、本場の味をとことん追求することにしました。これまで慣れ親しんだ味とはまったく違うので、発売当初は『辛すぎる!』というクレームが数多く寄せられました」(星野さん)
ヘルシー志向と昭和レトロのブームで人気再燃
潮目が変わったのは、2年後。激辛ブームが到来し、レトルトカレーやカップ麺、スナック菓子など、ありとあらゆるものが激辛化されると、辛さのクレームがピタリと止んだ。それどころか、「辛さが足りない」という意見が寄せられた。
「男乃カレー」は、小麦粉を使っていないのも特徴である。いわば、4年ほど前から人気となっているスパイスカレーの先駆けと言ってもよいだろう。ヘルシー志向や昭和レトロブームの到来で粉末カレーの人気が再燃したり、グルテンフリーやプラントベースの観点から米粉カレーが注目を集めたり、オリエンタルの商品開発はまるで未来の食文化が見えているようだ。
「いえいえ、そのときのブームに乗る形で商品を開発することもあります。ただ、ほかのメーカーとの違いは、ブームが去った後も根気よく売り続けているということです。『時代は巡る』、というのが弊社の考えの根底にあり、たとえ売り上げが減少したとしても、それは一時的なものであって、作り続けるうちにまた必ずチャンスが訪れるだろうと」(星野さん)
オリエンタルは、一昨年に『台湾魯肉(ルーロー)飯』と『台湾鶏肉(ジーロー)飯』、昨年に『インディアンスパゲッティーソース』を発売。これらは台湾グルメやレトロ喫茶のブームを受けての新商品だが、この先もずっと販売され続けることだろう。
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