昭和20年から売れ続ける「即席カレー」の正体 愛知のメーカー「オリエンタル」が守ってきた事

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当時、固形ルウに使われる油脂の中には融点の高いものがあり、健康上問題になったこともあった。オリエンタルは当初から可能な限り添加物を少なくして、より自然な食品づくりをめざしていたこともあり、固形ルウを作らない方針をとった。

オリエンタルの常務取締役、星野恭徳さん(筆者撮影)

かたくななまでに粉末タイプにこだわり続けた結果、時代は流れて世の中に健康ブームが起こると、再び注目を集めるようになった。粉末カレーは、油脂が少なくてさっぱりとした味わいなので、ヘルシー志向と合致したのだ。

また、粉末ゆえの熱に溶けやすいという特徴から、カレーライス以外に野菜炒めやチャーハン、カレー鍋などアイデア次第でさまざまな料理に活用できるという利点もある。ネットのレシピサイトで「即席カレー」を使ったレシピが紹介されたり、コロナ禍のステイホームで料理をする機会が増えたりと、今も順調に売り上げを伸ばしているという。

売り上げが落ち、販売終了も検討

オリエンタルの商品で注目したいのは、パッケージ。「即席カレー」や「マースカレー」「濃縮生乃カレー」など昭和の時代から発売されているロングセラー商品はデザインがほとんど変わっていない。とくに「マースカレー」は、色使いやロゴ、キャラクターのすべてが中高年にとっては懐かしく、若者にとっては新しく感じる。

実はこの「マースカレー」、売り上げが落ちたことがあり、販売終了も検討されたこともあった。もう少し様子を見ようと製造を継続する中で昭和レトロのブームが起こり、人気が再燃したという。

愛知県稲沢市のオリエンタル本社(筆者撮影)

同じような話はいくつもある。例えば、平成23年(2011年)に発売された「米粉カレールウ」という商品。その名のとおり、主原料となる小麦粉をすべて米粉に置き換えたカレールウである。開発のきっかけとなったのは、低下の一途を辿る国内の食料自給率。中でもカギを握るコメの自給率向上につながればという思いで作られた。

「愛知県産の米粉100%使用のほか、トランス脂肪酸フリーや化学調味料、着色料の不使用にもこだわりました。もともとコメの国内自給率を上げるための商品でしたが、最近ではグルテンフリーやプラントベースという観点から、海外で注目を集めています」(星野さん)

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