パートの人に影響大!「社会保険」適用拡大のカベ 今年10月から変更、年間20万手取り減の場合も

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(2)給付について

厚生年金に加入することになれば将来もらえる年金はもちろん、障害を負ったときの年金、万が一亡くなってしまったときに遺族に支払われる年金はその分多くもらえます。また、健康保険に加入すれば、国民健康保険や健康保険の被扶養者であったときにはもらえなかった傷病手当金(私傷病で働けない間におよそ月収の3分の2が給付される)や出産手当金(産前産後休業期間中におよそ月収の3分の2が給付される)の給付を受給することができるなど、加入前と比べ手厚い給付を受給できるようになります。

4、ダブルワークやフリーランスの人はどうなる

ところで、最近ダブルワークやフリーランスと言われる働き方が増えていますので、それぞれの社会保険の取り扱いについても少し触れたいと思います。

まず、ダブルワークの場合ですが、社会保険の加入基準は、あくまでもそれぞれの会社ごとに判断していきます。つまり、週20時間等の基準を見る際は、両社の所定労働時間等を通算して判断することはないのです。

例えば、A社15時間、B社10時間で通算25時間であったとしても、通算して加入とはならないわけです。逆に、A社20時間、B社20時間の場合でその他の基準をそれぞれ満たす場合は、両方で社会保険加入となり、保険料は按分計算されることになります。次にフリーランスの場合ですが、フリーランスはあくまでも個人事業主になるため、社会保険に加入することはできません。

なかなか給与も増えない中、手取りが減ることは大きな話だと思います。ご自身の状況に応じて早めに対応しておきましょう。

武澤 健太郎 大槻経営労務管理事務所社員役員、特定社会保険労務士

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たけざわ けんたろう

社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 労務コンサルティング事業部執行役員(銀座第3室室長兼務)。2011年9月に経営労務監査プロジェクトのプロジェクトリーダーとして、数多くの労務監査を手掛ける。2012年5月に特定社会保険労務士を付記するとともに、多数のクライアントより個別労使紛争を含む労務相談を受ける。そして、2013年9月には、海外進出プロジェクト担当リーダーに就任し、アジアを中心とした海外進出に必要な労務管理、労働社会保険のアドバイスを積極的に行っている。
 

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