政治圧力をかわすことが目的化した政策の危うさ【日銀が追加緩和決定(2)】
また、白川総裁は会見で「時間軸の明確化のなかでも、金融面での不均衡が蓄積するというリスクを点検し、そうした点で問題がなければ、という条件をつけている」とバブル発生のリスクに配慮していることを強調した。
しかし、資金需要が乏しいなかで、「資産バブルよりも先にCPI(消費者物価)が上昇することはない。仮に、CPIが上昇するならば、株やコモディティ、不動産などの局地的バブルが先に発生する」(バークレイズ・森田氏)と考えられる。
白川総裁は8月10日の会見では、「企業経営者とは、本来アニマルスピリットを持っている、イノベーションの精神を持っている。そうした経営者の企業努力が最大限に報われるような経済環境をしっかり作っていく」と語っていた。しかし、リスクプレミアムが既に極端に縮小している中で、日銀が政治の圧力に押されてカンフル剤を打ち続けることは、本来、日本経済に求められる需要創出政策や産業構造の転換に結びつく企業努力をむしろ遅らせ、阻害する恐れがある。
(大崎 明子 =東洋経済オンライン)
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